近況報告です

みなさん、お久しぶりです、こんにちは。
みくです。近況報告に来ました。

損切り大学プロトタイプのみんなとレポートなどで交流していて、今、私にはこんな薄らとした目標が芽生えつつあります。
それは、虐待サバイバー(つまり、生育歴の問題から生きづらさを感じている人)のためのカウンセリングオフィスを開所したいという気持ちです。

私自身がバリバリ当事者として、そこからの回復に真剣にがむしゃらに手段を選ばずに取り組んできたことはブログ読者の方ならご存知だと思います。
それは私自身にとっては自然な欲求でした。
しかし思いがけず、その結果手に入ったのは、「虐待サバイバー当事者の感覚と、そこから回復していく人の感覚の両方を知って」おり、また「その過程について起こる身体的、精神的状況に対する知識、洞察」を持った状態でした。

これは他の当事者援助に使えるリソースなのかもと。
こう感じるに至った経緯は、目に見えないものだからこそ日本はこの「生きづらさ」の問題を軽視しているし、あまりにも共感の手が届かないところにあると感じたことでした。

先日『ルポ・虐待サバイバー』という本を読んでその理由を知りました。
この社会を営んでいるのは大多数の「普通の人」であり、「虐待サバイバー」はその普通の人とは全く違う文化圏の人間である。
ところが、普通の人は「全く違う文化圏の人」という認識が足りなくて、それゆえに虐待サバイバーの回復を願いながらも、阻んでしまっている。
このような内容でした。

普通の人には「想像すらできない」違いを虐待サバイバーは保持しています。それは、大きく分けると次の3点になります(みく分類)

  • 解離(人格・フラッシュバックの障害)
  • 愛着の欠如(他者との信頼関係の障害)
  • 認知の歪み(自己イメージや被害妄想の障害)

普通の人には「この3点の状態が想像がつかない」のです。
なぜなら安全な場所で育ってるので。
だから、虐待サバイバーの振る舞いが理解できませんし、支援したいと思って追い詰めてしまうということです。
(決して「支援したくない」と思っているわけではないのです。)

どういうことかというと、例えば母親から情緒的ネグレクトをされていた人に「お母さんと仲良くなるにはどうすればいいか一緒に考えよう」という言葉をかけてしまう。

これって、虐待サバイバー語に変換すると「死ね」ということです。これを言われた当事者は、2度とその人に会いたいとは思えないでしょう。(誰だって面と向かって「死ね」なんて言ってくるヤバい人とは関わりたくありませんからね。)

なぜならその人は子供の頃、お母さんと仲良くなること以上に「生き抜くこと」を優先しました。
それゆえに「お母さんと仲良くなったら=生きていけない」のです。しかもその選択に深い後悔や罪悪感を抱えています。
「殺されてもいいから、お母さんと仲良くしたかった」自分もいるからです。でもそれよりも自分の生存を優先した。そのことこに深い恥と罪悪感を抱えながらも、それでもその人は生き抜くことを優先しました。

本来、この人が浴びるべきは賞賛です。よくぞ生き抜いた、それは恥ずかしいことではない、賢い選択であった。何も間違ってなかった。あなたは立派に自分の心を守った。そして大人になって今、回復に向かって歩き出した。そこに一切の罪は存在しない。

しかし「普通の人」には「そんな状況がこの世界に存在するなんてことが体感的に理解できない」のです。(そして逆も然り)

なので実際には「仲良くしよう!」と言われてしまうわけなので、虐待サバイバーは、支援して欲しい相手に「死ね」と言われてしまい、困惑し、傷つき、社会に絶望し、やはり恥と罪悪感を抱えたまま、この世界をフワフワ彷徨ってしまうのです。

このような違いを持つ社会を、私たちサバイバーは生きています。それは私たちが、普通の人とは異なる脳の状態を持っているからです。
その症状が、解離・愛着・認知、という障害に集約されていく。

そんで、私は、「それが治る」ということを知っていたりします。
だけどそれはパッと一瞬で解決したり、魔法のように治癒するというよりは、むしろ「しんどすぎるプロセス」が「永遠に続くかのような」中でも「挫けず少しずつ取り組んで回復していく」といった性質のものだということも知っています。

なぜなら、シンプルに脳機能障害のようなものだからです。
必要なのはリハビリですし、リハピリは一人ではしんどいので人とやった方がいい。

先日、脳梗塞で左脳の1/4が壊れてしまった人のコラムを読みました。
発話できる単語は「お母さん」と「わかんない」の2語だけだったそうです。
それが長年、家族とリハビリを続けて、今は本を一冊書けるほどに言葉を回復させたということです。
ここまでの話だと「脳って可塑性があるんだなぁ」で終わりなんですが、この話のポイントは次のところにあると思います。
脳のスキャン画像を医師が見ると「どう考えても言葉が回復している状態ではなく、その部分はすっかり欠損したまま」なんだそうです。
そこで言われたのは「本来言葉を司る部分ではないところが補う形で発達して、それで回復したのではないか」という内容でした。
私はこのことに深い感銘を受けました。
回復は「失われたものを取り戻す」ということではないんだ。

失われたものは2度と取り返せません。
当事者が、あたたかい家庭で子供時代をやり直すことはできませんし、もし今後VRなどが発達してその追体験が可能になったとしても、その時に発達するのは「脳の別の部分」に違いないのです。
失われたものは二度と返ってこない。
だからしっかり嘆きましょう。怒りましょう。悲しみましょう。
そしてその後、立ち上がりましょう。
なぜなら、人間にはそんなことをものともしないような「治る力」を持っているから。
特に脳はそのような性質が強い臓器なのかもしれません。

私は自分の回復のプロセスを振り返ると、こんなふうに感じるのです。
普通の人が持っている「ピカピカの愛着」じゃないけど、私の「愛着」は、古い布を集めてきて手縫いされた、「私が作った私のオリジナルのいびつな愛着」です。「これが愛着なのかなぁ?あってるのかなぁ?」と思いながらも、大切に持ち歩いています。
解離も同じ。みんなが持っている「まとまりのある人格」とは似ても似つかないけど、私の中にある人格全部が「時々離れたりくっついたりしながらスイミーみたいにまとまってる私」が私お手製の人格。どんなお魚でも、私として受け入れるリソースを持っているから、それが私にとっての回復。
そして「多くの人の自動的認知『普通』」なんて永遠に理解できないけど、そのことまでをも包括的に理解しながら自分の幸せのためになる認知を選び取っていく「新しい手動式認知」が私の認知のやり方。そうできる能力があると、私を信頼できてることが、私にとっての回復。

失った物とは取り戻せないけど、こんな回復状態になることは、可能なのだということ。
なぜなら、すでに「生き抜いて」いる。
それだけの聡明さと強さを持っているからです。ただ、バラバラに散らばったピースを、一つ一つ丁寧に拾っていき、はめるべき場所にはめていく作業が必要なだけ。
そうして完成していく絵は、時に辛い物だったり、見たくない物だったりするけれど、けれどその作業に取り組むことが回復には不可欠です。

そして…その作業に取り組んでくれる場所は、まだこの社会にはあんまりないと私は感じています。心理領域、精神科領域の中にすら不足していると。(あるのに知らないだけかもしれません。)

まあそんなわけで、今興味を持っているのはそういう日本では「透明人間」として扱われてる虐待サバイバー、トラウマさん、生きづらい人たち専門の場所を開所することなんですよね。

損切り大学のみんなと交流しながら、私自身も大きな流れの中で、また新しい方向を見つけつつあります。
癒しはこんなふうに、全部を巻き込んで大きな渦のように進んでいくんですね。
だからサバイバーの自助グループなんかもやりたいです。(今の損切り大学プロトタイプが、それにあたると思います)

そして損切りのGEDATSUは「『自分を助けるための自分』が強化されて、完成する」状態なんだろうかと、今は感じています。
なので、損切りという手法にこだわらず(もちろん有益なので活用できる人は活用してほしいが)回復を全方位でサポートしていく場所が必要だと感じています。

今は、私自身が自分のために色々やりたいことがあって、今年いっぱいは水面下に潜って色々と準備したいと思います。
もし本気で開業する!と決意した場合は、来年以降に開業できたらいいなと考えています。

では!
近況報告はこんな感じで〜。


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2 Comments

  1. Ami says:

    みくさん、近況をありがとうございます。

    みんなが持ってる「まとまりのある人格」って、実はないのでは?

    スイミーみたいに自由自在に変化するのが、本来の姿。

    癒着していたスイミーがひとつひとつ自由になって、細かく観測できるのが嬉しいなぁと、私は思っています。

    思考操作された世界に住んでいる人で、解離・愛着・認知の障害を持ってない人は、ひとりもいないです。

    回復をサポートするには、この世界のカラクリを知っていて、GEDATSUしていることがとっても大切。

    みくさんにしかできないです。

    応援してますね。
    いつもどうもありがとう!

    1. Amiさん❤️コメントをありがとうございます。
      Amiさんにそんなふうに言ってもらえるなら、自信を持ってこの方向で進んでいけそうです。
      力強い応援、いつも本当にありがとうございます!

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